佐藤一朗の勝つ為のトレーニング 第1回
みなさんこんにちは。いっち~こと佐藤一朗です。
この度“けいりんマガジン誌”に引き続き“KEIRIN MAGAZINE WEB”でもお世話になる事になりました。
けいりんマガジンでは「いっち~の競輪道場」や「めざせオリンピック!」などでトレーニングに関するコラムを担当させて頂いていましたが、今回のコンテンツ制作にあたって編集長からの依頼は「佐藤さんのお店の宣伝になる様なコンテンツを作ってください!。。。。ギャラは出ませんが。」とのこと。「それで良いんですか!?」と大喜びをしてしまい危うく最後の一言を聞き逃すところでした。「ギャラは出ませんが。」そうなんですね。ノーギャラなんですね。ハイ解りました。慣れていますから。。。そんなこんながありまして、このコンテンツでは精一杯広告させて頂いて「自分でギャラ分の売り上げを上げてみよう!」と頑張ることになりました。
さて、売り上げを上げるにしてもまずは僕の現在やっている仕事を紹介しなくては話になりません。皆さんもご存じかと思いますが以前はJKAというありがたいところから毎月2本~3本の斡旋を頂き生計を立てていました。しかし現在はフリーランスで活動をしているためじっと待っているだけでは仕事はやってきません。そこで何を考えたかというと「好きな自転車競技に関わる仕事をしよう!」と言うことで、競技生活を送る上で欠かすことの出来ない三要件、①トレーニング・②栄養・③ケアの中で自分で出来る事を考えました。
まず真っ先に考えたのはトレーニングの指導で食べていく方法。これまでやって来た競技生活や後輩の指導の経験からある程度の知識と自信があったので、公的な資格さえ取れば大丈夫だろうと思い「日本体育協会・公認コーチ」の資格を取得する事にしました。
しかしその講習の中で愕然としたのは競技のことは知っているものの、それ以前に「基本的な人の身体」に付いて余りにも知らない事でした。経験論としてトレーニングの方法は知っていましたが、そのトレーニングによって身体の中でどんな事が起こっているのか、どうやって強くなって行くのか、今考えればそんな当たり前の事すら知らずに競技や指導を行っていたんですね。
今の日本ではまだ「一流の競技者 = 良い指導者」という思い込みがありますが、幾ら素晴らしい競技成績を残していても、どれだけ長く競技生活を続けていても、「学ばなければ何も知らない・指導する資格がない」と言うことを痛感させられました。
そこで次に考えたのは、選手を引退する前に散々お世話になった「ケア」の仕事です。一般の人であれば怪我や病気になって始めてお世話になるケア(メディカル・ケア/医療)ですが、スポーツ選手は故障を起こしてからでは手遅れ。そうなる前に定期的なコンディショニング・ケア/マッサージがとても重要になってきます。最近はいわゆる整体やリフレクソロジーのような"無資格"のお店が増えてきましたが、やはり競技選手と関わっていくためにはちゃんと公的な資格を取らなくてはと思い、鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得することにしました。実はこの資格取得にはもう一つ理由があって「治療の為の勉強をする事で、これまで学んでいなかった人の身体に付いて勉強する事が出来る。」そう思ったからです。もちろんその知識がトレーニングの勉強に必ず生きるという確信もありました。そんな経緯を経て2010年6月横浜に「トレーナーズハウス鍼灸マッサージ院」を開業し今の僕の生活の糧となっています。
もちろん自転車競技の指導やトレーニング理論についての研究も行っています。2007年からけいりんマガジン誌に連載を始めた「いっち~の競輪道場」を皮切りに執筆活動をしていく中で、これまで自分が行って来たトレーニングの検証をしつつ、その裏付けとなる運動生理学や解剖学等の人の身体に付いての勉強を進めました。ある程度理論的な確立が出来たところで再び指導の現場に復帰し現在は国立鹿屋体育大学にてTASSプロジェクト特別講師として学生の指導をしながら、国内・国際の大会を積極的に取材しデータを集め、世界で戦う為の新たなトレーニング理論の確立を目指しています。
説明が長くなりましたが、以上の様なことからTrainer's Houseで現在行っている営業内容としては大きく分けて2つ。鍼灸マッサージ院での治療及びコンディショニング、そして自転車競技のトレーニング指導になります。
今回はその中からトレーナーズハウスで行っているトレーニング指導に付いて簡単に紹介しましょう。
競技力強化の為のトレーニング指導は簡単なようで実はとても難しい作業です。なぜなら選手個々によって競技種目・戦法が違いますし、なにより競技力に開きがあるからです。
<カウンセリング>
そこでトレーナーズハウスではまず選手と綿密なカウンセリングを行います。その際これまでの競技歴や競技成績を確認し、今後その選手が目指している目標を共有する事から始めます。
<測定・解析>
その後実際にトレーニングを行いながら動作解析を行うための撮影や、競技能力を分析するための測定を行います。
<改善点の抽出>
そこで得られた情報を基に目標達成のために必要な改善点を抽出して行きます。
<トレーニングプログラムの作成>
改善点がハッキリしたところで、必要なトレーニングプログラムを作成しますが、その為には単にメニューを消化するだけでは目的とした効果はなかなか得られないため、トレーニングの目的や簡単な運動生理学を選手にも理解して貰うための時間も作っていきます。
<トレーニングの実施>
トレーニングの実施に際しては、トレーニング種目の説明や負荷の設定、セット数、レスト時間に至るまで「トレーニングを行う目的と効果」を説明しながら行っていきます。本来コーチやトレーナーは選手に常に帯同して指導を行うべきなのですが、個人レベルで選手がトレーナー契約を行う事は難しいため、選手が自らトレーニングプログラムを作成出来るように解りやすく説明して行きます。また選手サイドから希望があれば普段指導をしているコーチや顧問の先生などに対しても同様の説明をし、効果的なトレーニング継続のための情報提供も行っていきます。
<競走・大会参加>
この様な流れを経て大会や競走に向けて競技力の強化や調整を行っていきますが、当然のように簡単には成果を得ることは出来ないでしょう。1つの改善点をクリアーすればまた新たな問題が浮かび上がり、その改善のためのプログラムが必要となってきます。定期的に測定や解析を行いながら、競技力の向上に併せて新たなプログラムを提供し選手の目標達成の為に協力していきます。
さて、何となく仕事の内容が分かって頂けたでしょうか!? 次回はそれぞれの項目について具体的にお話ししたいと思います。

TRAINER'S HOUSE 代表 : 佐藤一朗
略歴 : 中央大学商学部会計学科卒
湘南医療福祉専門学校東洋療法本科卒
自転車競技 世界選手権 元日本代表
プロ競技選手 NKG63th ('89~'06)
資格 : 厚生労働大臣認可・国家資格
はり師 きゅう師 あん摩マッサージ指圧師
日本体育協会 公認コーチ(自転車競技)
web site http://www.trainers-house.net/






